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名古屋地方裁判所 昭和44年(行ウ)45号 判決 1969年11月21日

名古屋市中川区富田町戸田三ノ割一〇〇番地

原告

青木英禰

名古屋市中川区西古渡町六丁目八番地

被告

中川税務署長

宮尾典

右指定代理人

島村芳見

老籾貞雄

高橋多嘉司

石川敏夫

宮田義高

水沢英夫

右当事者間の昭和四四年(行ウ)第四五号物品税課税処分取消請求事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件訴えを却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一、当事者の申立て

一、原告

被告が原告に対し昭和四三年一一月三〇日付でなした昭和四二年七月分から昭和四三年四月分までの物品税金五、七二四、六〇〇円の賦課決定を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

二、被告

(一)  本案前の申立て

主文同旨

(二)  本案について

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

第二、請求の原因

一、被告は原告に対し昭和四三年一一月三〇日付で昭和四二年七月分から昭和四三年四月分までのパチンコ機製造についての物品税として金五、七二四、六〇〇円を賦課する旨の更正決定をなした。

二、被告は、原告が訴外高橋明との共同経営による丸越工業においてパチンコ機の製造をなしたものであるから原告と訴外高橋明の両名で物品税を納付すべきであるとしているが、原告は訴外高橋明と共同してパチンコ機の製造をしたことはないので原告に対する課税は違法である。

三、原告は右処分につき異議の申立てをなしたところ、昭和四四年三月一三日棄却決定の通知を受けたので、さらに審査請求をしたが、同年六月一一日付で却下され、同月一二日その旨の通知があつた。

よつて本件処分の取り消しを求めるため本訴に及ぶ。

第三、被告の主張

一、本案前の申立てについて

原告の本件訴えは国税通則法第八七条第一項の不服申立手続を経ていないから不適法である。すなわち、本件物品税更正、決定ならびに加算税賦課決定処分について原告は昭和四三年一二月二六日異議申立てをなしたが、被告は昭和四四年三月一二日棄却決定し、翌一三日原告に棄却決定通知書が到達した。しかるに原告は国税通則法第七九条所定の不服申立期間を経過した同年五月一四日、右棄却決定を不服として名古屋国税局長に審査請求をなしたので、同局長は同年六月一一日、右審査請求は不服申立期間を経過した不適法なものであるとして却下の裁決をした。かかる不適法な審査請求がなされても同法第八七条第一項所定の不服申立手続を経たものとは解されず、また同項ただし書所定の不服申立手続を必要としない特段の事由もない。よつて原告の本件訴えは不適法であるから却下されるべきである。

二、本案について

(一)  請求原因第一項は認める。なお処分の内容は別表のとおりである。

(二)  同第二項中被告が、原告は訴外高橋明との共同経営によりぱちんこ機を製造したものであるから、右両名で物品税を納付すべきであるとしたことは認めるが、その余は否認する。

(三)  同第三項中被告が原告の異議申立てを棄却したこと、ならびに名古屋国税局長が原告の審査請求を却下したことは認めるが、その余は争う。

(四)  原告は資金、原材料、販売関係等を、訴外高橋明は同人の父訴外利七名義の製造場設備およびパチンコ機製造についての特許の実施権の利用等をもち寄り、両名は共同して物品税法第一条別表第二種の物品八号遊戯具類5に掲げる「ぱちんこ機」を製造し移出したものである。

したがつて共同経営にかかる物品税については国税通則法第九条により両名連帯して納税義務を負うべきであるから、被告が原告に対してなした本件物品税更正、決定ならびに加算税賦課決定処分は適法である。

第四、証処

被告は乙第一号証の一、二、第二号証の一、二、第三ないし六号証を提出し、原告は乙各号証の成立を認めた。

理由

原告は被告が昭和四三年一一月三〇日付でなした物品税の更正、決定ならびに加算税賦課決定に対し異議申立てをしたこと、被告は異議申立て棄却の決定をなし、右決定は昭和四四年三月一三日原告に通知されたこと、原告が同年五月一四日名古屋国税局長に対し審査請求をしたところ同局長は同年六月一一日審査請求を却下したことは当事者間に争いがない。

成立に争いのない乙第三号証によれば、名古屋国税局長が原告の審査請求を却下したのは、右請求が国税通則法第七九条第三項所定の期間を経過し、かつ、同条第五項に規定する遅延したことにつきやむを得ない理由が認められないから、法定の期間経過後にされた不適法な審査請求であるという理由によるものであることが認められる。

右認定のとおり名古屋国税局長が審査請求を期間経過後の不適法な請求として却下した場合においては、国税通則法第八七条第一項所定の審査請求を経たものとはいえず、また同項ただし書所定の事由を認めるにたりる証拠もないから、原告の本訴は国税通則法第八七条第一項に違反し、不適法といわなければならない。

よつて原告の本件訴えは不適法としてこれを却下すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 松本重美 裁判官 反町宏 裁判官 清水正美)

別表

物品税更正、決定ならびに加算税賦課決定処分の内容

<省略>

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